足の痛み解決!靴をつくる理学療法士のblog

靴の販売・オーダーメードインソールの『 靴の馬喰快歩堂 』のご案内と、
理学療法士の目線から足と靴の関係・履物でのトラブル防止に長年取り組んでいる三浦賢一(みうらけんいち) & 佐野宏次(さのこうじ) 
ふたりの活動をご紹介しています。

タグ:過回内

男性のお客様より手縫底付けの外羽根紳士靴の調整をご依頼いただきました。
普段は営業にて馬喰町を闊歩し、イギリス靴をこよなく愛するS様。

S様:『前から気になっていたんですけど、他所のオーダー靴の調整も可能ですか?』

との問いに、勿論、喜んで対応させて頂く旨をお伝えしました。
S様:『右足の指がどうしても当たるんです。革が柔らかくなるまで待ったんですが…』
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早速靴を拝見します。すると、履いた時点で、いくばくかの踵の緩みを訴え、歩行時に右母趾とアッパー上部の摩擦の痛み、右小趾の痛みがあるとのこと。その位置と状態を確認します。

この状況から考えられる要因は、踵の固定が弱い、足が前に滑る、もしくは踵が押し出されていること。その現象を引き起こすのが、足部不良運動(過回内、過回外)なのか、それとも靴の各種パーツの誤差によるものかを見極める必要があります。

この歩行姿勢の分析より、右足が過回外、左足が過回内の傾向が強ことが判明。歩行軌跡の分析によって、左測推進期の過回内より右側接地期の過回外を誘導し、右側推進期の過回外に至ることも判りました。

これらを把握した上で、インソールの設計を考え作っていくのです。
左側ショパール関節部と母趾級側面から母趾内壁へのサポートを中心に作製し、
右側は立方骨部はアーチ状の付加、第5中足趾節関節部はややウェッジ形状を強めに作製させていただきました。
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インソールを装着し、履いてみていただきます。歩いてみると、足の痛み、かかとの緩みは消えているとのこと。
S様:『おおっ!別の靴みたいです。』

翌週、その後の靴の履き心地状態をおうかがいしました。
S様:『調子良いです。でもまだちょっと気になるんですよ。』 とのこと。
屋外で長い時間歩くと小趾が当たり始めるご様子。
拝見すると、少し赤くなっていたのも確認できました。

歩いてもらうと、歩行姿勢、歩行軌跡共に、足部不良運動が是正されている状態。
このことで遠因は靴のパーツ誤差と判断しました。
結果、ヒールのアゴの設定角度が靴底着地位置に対して直角になっていない点、もう一つは木型状踵部の外側のスペースが不足している点が判明し修正を加えます。

S様:『うおっ!』 という声が上がり…
『バッチリです!今度別の靴もお願いします!!』とのこと。

後日、指の痛み・踵の緩み共に解消された旨を賜り、
ご好意で実家で栽培されている林檎を頂きました。

S様、ご来店ありがとうございました。


オーダー靴では、踵をしっかりと固定する為に履く方に合わせて木型を作る。
当然、靴内と同じ向きで足が固定される。
この状態でヒ-ルのアゴが歩行時の着地位置に対して直角に切れていないと足はその位置に誘導される。つまり“木型の着地位置とヒールが誘導する着地位置の誤差を生み出す。

この誤差により、踵骨や周辺の軟部組織が外側に動き、外側のヒールカウンターに当たりながらの歩行となる。
足が硬い方は靴擦れになりやすいが、一方、足がやわらかい方は踵部の軟部組織に押し出される形になり、足が外転方向に誘導され、小趾がアッパーに押し付けられ痛みが出やすいのが特徴と言えよう。
靴の踵部を足に合わせた場合、もしくは堅固な素材を用いるゆえに起こる問題である。

既製靴は踵部を大きく作る為、踵の内・外共にに余裕があるのでこの問題は生じにくい。
既成靴とオーダー靴の調整方法に関しては、オーダー靴の方がシビアである。
足に合わせずゆえに起こるトラブルと、
足に合わせて作るがゆえのトラブルは、症状は似ても問題点は非なるもの
である。

上記の対応例がオーダー靴を選ばれる方、その調整に対応される方の一助になれば幸いである。

整形外科にて有痛性外脛骨障害と診断を受けたサッカー少年がご来店でした。

診てみると右足の内側が赤く腫れ、とても痛そう。ボールを蹴るのは勿論のこと、走っても痛む為、プレー出来ずに困っているとのこと。

動作を観察してみると、足が内側に倒れ込む過回内の状態が認められました。またスパイクが1サイズ程大きく、足が中で遊んでしまっている状態です。
その場で状況を説明し、正しい紐の締め方の指導と、インソールの製作を行ったところ、
「走っても痛みがでない!」と、たいそう喜んでくれました。よかった。アイシング等のセルフケアの仕方も指導し、経過を観ながら再度の調整の必要性を説明してこの日は終了しました。
早くボールを蹴れるようになり、思いきりプレー出来るようになると良いですね。1209_1_w480

整形外科で「変形性膝関節症」と診断を受けた、50代女性のY様がご相談に来られました。

診てみると、明らかに右膝がX脚。日本人には少ない「外反型」のようです。
歩行状態を観察してみると、右足が内側に倒れ込む過回内の動きが著明に認められました。

今回は靴サイズには特に問題がなかった為、そのまま正しい靴の履き方の指導とインソールの製作を行わせて頂いたところ、「膝のストレスが軽減して、歩くのがとても楽です」となかなかの高評価。
「靴の大切さをもっと早く知れば良かった!」と笑顔で話され、「今度は他の靴もお願いします」と言って元気に帰られました。早くもっと良くなって、グッドウォーキングを楽しめるようになれると良いですね。20131119_w480

陥入爪と診断を受け、皮膚科で治療中の中学生の男の子がいらっしゃいました。

診ると両足の親指の爪の脇が内外共に食い込み、出血していてとても痛そう。
親指があたる為、履ける靴が少なく困っているとのこと。
計測してみると、両足共に親指の「浮き指」と、内側に倒れ込む動きを呈する「過回内」の状態が観察されました。靴も大き過ぎるサイズの割には爪先のスペースが少なく、出血部位の衛生環境を考えた場合通気性が悪過ぎるものを履いています。すぐに通気性が良く、爪先に十分なスペースのあるサイズの合った靴に買い換えてもらい、インソールを製作。それ以降は親指もあたらず、とても歩き易くなったとのこと。皮膚科での治療もうまくいき、早く良くなってくれることを願っています。
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膝の痛い女性ランナーがいらっしゃいました。

この方は半年位前からランニングを始められたそうです。週3回5~10㎞程度走るのですが、10㎞以上走ると両膝が痛くなって困っていたのだそうです。
初心者なので体力レベルの問題もあるとは思いますが、靴をみてみると少々サイズが大きく、走ってもらうと両足ともに足が内側に過剰に倒れ込む「過回内」の動きがみられました

足が過剰に内側に倒れ込むと、膝も連動して内側を向いてしまい、痛みの原因になりがちです。今回は、足が靴の中で遊ばないよう正しい靴紐の締め方の指導と、過回内を防止するようこの方の状態に合うよう設計したインソールを製作させて頂きました。

後日連絡を頂きましたが、あれ以来10㎞を超えても膝の痛みが出ていないそうです。大変嬉しい限りです。是非、楽しいランニングライフをお過ごし下さい!

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